FXの自動売買は儲かる?メリット・デメリットと選ぶ際のポイントを解説

「放置してても寝てる間に儲かる」といった謳い文句で宣伝されているFXの自動売買(システムトレードシストレ)のツール・ソフト・アプリの類は多くありますが、実際に使ってみて安定したパフォーマンスが出るものは中々少ないのが現状です。この記事では、FXの自動売買に関連して素人や初心者の方に注意してもらいたいこと、そして自動売買で儲けるための秘訣と儲かるツールの選び方について解説をしていきます。オススメのツールとその理由も紹介していますので、ぜひチェックしてください。

 

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自動売買には限界がある

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現状、「完全に放置していても儲かる」というようなFXの自動売買ツールはかなり少ないのが現状です。「これまで安定した成績を納めてきた」「バックテストでは綺麗な右肩上がりの損益グラフになっている」というツールでも、急な相場変動の際に一気に資産を減らしてしまうものが少なくありません。

 

指標が発表される際やボラティリティが大きいときには手動でツール・EA*1を非稼働にしたりといった対策はできますが、そうなってくると「完全放置で大丈夫」ということにはならず、運用する上では自分の裁量も求められるツールが多くなっています。

 

どんなロジックで売買されているの?

自動売買ツールは、テクニカル分析の指標を複数組み合わせて、一定の条件を満たしたときにポジションのエントリー、決済を行うというものです。参照している指標は移動平均線ボリンジャーバンド一目均衡表MACD、RSI、ストキャスティクス、フィボナッチなど定番のものが多くなっています。FXの取引戦略に関しては、こうした多くの人が意識している指標を元に相場を分析することが重要であり、これらを組み合わせてどのように環境認識をして期待値のあるロジックを組むのかが、開発者の腕の見せ所なのです。

 

トラリピ、ループイフダンに期待値は無い

また、トラリピ、トライオート系の運用方法も、極端に相場が変動する際には損失がどんどん増えていくケースが多く、アフィリエイト系ブロガーが「簡単に儲かった」と一定の期間を切り取って語っているのをよく見ますが、運用が簡単なものではありません。2019年始にも、1月3日の朝方に急激な円高が発生した局面がありましたが、そうした急激な値動きが発生したときに今までの利益が全て吹き飛んで損益がマイナスに転じてしまったというような声が多くありました。

 

そもそもループイフダン系統のストラテジーは「レンジ」という「これまでの相場の傾向」を「これからもこの範囲で動くだろう」という仮定を当てはめて取引するだけで、ロジックそのものに期待値は一切ありません。大手のヘッジファンドがこのスタイルの取引で資金を運用することは無いということからも、いかにトラリピが「アフィリエイターと業者だけに持て囃されているか」がお判りいただけるかと思います。

 

AI・機械学習分野の発展で進化はしているが…

最近はあらゆるところでAI(人工知能)が宣伝文句にされており、AIを構成する元になる機械学習ディープラーニングはFXの自動売買ツールを開発する上でも役立てられています。しかし、これまでの相場に関する膨大な量のデータから「今後も期待値を積めるアルゴリズム」を設計するのは容易では無く、AIとは名ばかりの紛い物が高額で販売されているようなケースもあります。

 

ナンピン・マーチンをするシステムには要注意

エントリーしたポジションに対してレートが逆行したときにさらにポジションを増やす「ナンピン」や、負けた後のトレードでロットを上げる「マーチン(マーチンゲール法)」を取り入れている自動売買ツールもありますが、これらのトレード方式を採用しているシステムはかなりリスクが高いので、使用は推奨できません。

 

自動売買ツールを用いて最終的に資産を増やすためには、勝率とリスクリワードの管理が重要であり、目先の損失を先送りにするナンピンやマーチンには期待値は一切ありません。一見効率良く資産を増やしているように見えても、負けが続くと一気に資産を失ってしまう「コツコツドカン」に陥ってしまうリスクがあります。

 

複利運用とレバレッジの設定

利益が出た分ロットを上げていく複利運用と、レバレッジの設定にも注意が必要です。どんなに勝率が良いツールでも連敗が続いてしまうような相場が訪れるかもしれません。その際に複利運用を早まってしまったり、レバレッジを高く設定してしまっていた場合には、資産の減りのスピードが非常に早くなってしまいます。自動売買ツールを利用する上では、目先の損益にとらわれず、とにかく長い目で期待値を積むことが重要ですので、無理のない設定で運用を行うようにしてください。

 

ちなみに、胡散臭いビジネスや投資の勧誘に「複利は人類最大の発見の一つである」という言葉がアインシュタインによるものとして紹介されることが多々ありますが、あれは都合よく解釈されたウソです。余談でした(笑)

 

 

 

バックテストとカーブフィッティングについて

FXの自動売買ツールは、そもそも儲かるロジックで構築されているものが非常に少ないという点も、必ず意識しなければなりません。バックテストという、過去のチャートと自動売買ツールのポジションを照らし合わせて損益グラフを確認する方法があるのですが、バックテストで見かけ上の成績がよくなるように「カーブフィッティング」という調節を行なっているものがほとんどだからです。

 

カーブフィッティングはどのツールもある程度やっているのですが、実際にそのツールを使ってポジションを持ってみると、注文が遅延して本来注文したいレートでのポジションが持てないということが頻発したり、スプレッドが広がって思うように利益が伸ばせないというケースもよく目にします。その結果、安定して収益を出せるツールはほとんど存在しないという状況になっています。

 

環境認識とトレンドフォロー

自動売買のツールやEAを検証する際には、「利益を出しているトレード」と「損切りしているトレード」がなぜそのような結果になっているのかを正確に分析することが重要です。「トレンドが発生したときにポジションを取る」というようなロジック・アルゴリズムであれば、トレンドが出たと思った後にレートが戻ってくる、いわゆる「騙し」の動きに弱くなります。

 

その場合は、自分でトレンドが出ているのを確認するまでEAの自動売買設定はオフにしておき、明確なトレンドが出たら「トレンド方向のエントリーのみ許可する」という設定で運用することで、勝率を上げてリスクも抑えることが可能です。このように環境認識とトレンドの確認に裁量判断を加えて運用するという方法も、FXの知識がある人にはオススメです。

 

ただし、急なトレンド転換が起こって押し目を作らずに大きなトレンドが発生するような相場では、この方法を採用したために利益が十分取れないというシチュエーションも出てくるでしょう。したがって、その部分は割り切るのか、相場の変動時にはアラートが出るようにして対応するのか、相場を監視する時間を長めに確保するのかなど、運用面で考えなければならないことも増えて。その部分を含めて「検証」は行われるべきですので、自分が使うツールの利点と弱点は正確に把握して運用方法を考えてください。

 

海外FXでは避けて通れないVDPの問題

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また、海外のFX業者ではVDPと呼ばれるツールを業者側が使っているため、儲かっているツールやトレーダーは儲からないように約定レートを調節されてしまうことがあります。VDPとはVirtual Dealer Plug-inの略で、業者が「儲かっている」と認識したトレーダーの注文に遅延をかけたり、約定を拒否したり、不利なレートで逆指値決済を執行したりといったことが発生してしまうことがあるのです。

 

XMやGEM-FOREX、TITAN FXなど、日本人に人気でMT4が使える業者でもVDPをが導入されていることは確認されていますので、そうした業者を使ってしまうと「本来勝てるツールを使っていても勝てない」という結果になってしまいます

 

OANDAの「一本勝ち」狩り疑惑 

一本勝ち | GogoJungle

一本勝ちの詳細(FX-ON)

MT4で使える「一本勝ち」という非常に優秀な成績を納めていて人気のあるEAがあるのですが、このEAを海外ではなく国内のFX業者であるOANDA(オアンダ)で利用していたところ、一本勝ちの損切りラインまで配信レートが無理やり動かされ、インターバンクレートとかなり乖離した位置で損失が確定してしまう人が続出したという事件がありました。

 

レートの誤配信に際してはロールバック(巻き戻し)の措置が行われることもありますが、OANDAのこの件に関してはそのような措置はなく、むしろ一本勝ちのストップ狩りを狙ったような値動きになっています。こうした業者の不正とも戦わなければならないということからも、自動売買運用の難しさが見て取れるかと思います。

 

リスクを受け入れた上で使うのは有益かも?

このように、FXの自動売買で勝つのは非常に難しいのが現状ではありますが、リスクを受け入れた上で自動売買ツールを使うことでトレードで儲けるために必要な基礎を学ぶことも可能です。FX初心者の人がトレードを行うような場合、「どこで売買すればいいのか全くわからないし、損切りや利確ポイントも全くわからない」ということが往々にしてあるかと思います。また、書籍やネットの情報を参考に取引を始めてもなかなか利益を出せていないという人も少なくないでしょう。

 

そんな人は、一度安定して収益を出しているEA・ツールを運用してみることで、「どこでポジションを持つのか」「どこで利確・損切りをするのか」といったことを確認することができますEAのポジションとチャートと照らし合わせながら利益と損益のバランスを分析し、自分なりの手法を考える練習もできますので、小さいロットやデモ講座で自動売買ツールを運用してみることには一定の意義があるでしょう。

 

 

 

インヴァスト証券シストレ24

インヴァスト証券には、他の人が作ったトレードロジックを使える「シストレ24」というサービスがあります。

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2019年2月からの直近12ヶ月で優秀だったフルオートのトレードシステムを見てみると、収益率は最大257%と非常に優秀なものがあることがわかります。複数のロジックを組み合わせて利用することも可能です。

 

ただし、シストレ24を利用するには最低運用資金の120万円が必要になります。余力がある人しか使えませんが、運用資金が潤沢な人は利用を検討してみても良いのでは無いでしょうか?

FX自動売買最大手のシストレ24 | インヴァスト証券

 

自動売買のランキングは「リスク」にも注目

先ほどのシストレ24のランキングは12ヶ月間の収益率から算出されたものですが、「収益率が高ければ良いツールと断定できるわけでも無い」という点には十分注意しなければなりません。収益率の右に各フルオートシステムの最大リスク(ドローダウン)も記載されていますが、これは「一番資産が増えたところから、最大でどれだけのマイナスが出たか」を表す数値です。

 

この数字は低ければ低いほど安全な運用ができているという目安になり、安心して運用を任せるためには高くても20%程度に留まっているものを選ぶのがベターです。収益率が高くてリスクも高いものは、文字通りハイリスクハイリターンですので、収益率だけを見て選ぶのは絶対に止めてください

 

「今儲かっている」「これまで儲かっていた」が通用しなくなるリスク

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先ほど名前を挙げた「一本勝ち」のように、長い時間軸で安定して利益を伸ばせている自動売買のロジックも存在するのですが、それらのロジックが急に通用しなくなる相場が訪れる瞬間がやってくるということも意識しておかなければなりません。それは1ヶ月後かもしれませんし、もしかしたら1秒後に今まで起こったことの無いレベルの相場の大変動が発生する可能性もあるのです。

 

そうした急激な相場変動で大負けして資金を減らしてしまわないよう、ロットを調節して資金管理を徹底したり、雇用統計などの重要指標発表時や要人発言の際にはポジションを閉じたり、両建てヘッジを行なったり、建値までストップを移動するなどといった対策が可能ですし、そうして丁寧に相場と向き合うことで自動売買ツールの持っている力を十分に発揮させられる環境を作ることが可能です。

 

そして、そこまでしなければ「コツコツ儲かっていたけれど、いきなり大きな損失を出してしまう」といういわゆるコツコツドカンから逃れることは難しく、「完全放置で寝ていても資金が増える」という自動売買ツールはなかなか無いということは頭に入れておきましょう。

 

ロジックやリスクリワード比が優秀な自動売買ツール

私は直近の4年ほどで、約280個のEAや自動売買ツールを実際に検証してきました。無料のものから有料のものまで幅広く見た上で、個人的に優秀だと判断できた4つのEAを現在は稼働していますが、その中から一般に公開されているオススメEAを1つだけご紹介します。そのEAとは、先ほどチラッと名前を挙げた「一本勝ち」です。

 

一本勝ち(スタンダード)

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・勝率:77.10% (532/690)
・リスクリターン率:9.46
・最大ドローダウン:16.14%

一本勝ちはGogoJungle(旧FXon)という自動売買EA販売の最大手のプラットフォームで、長年優秀な成績を納めていて人気も高いEAの一つです。OANDA Japanでこの一本勝ちを刈る目的でレートが動いたのでは無いかという疑惑を先ほどご紹介しましたが、顧客のトレード注文を市場に流さない、いわゆる「呑み」の行為をやっている業者は一本勝ちでかなり損失を被っているという話を業界関係者から耳にするほど、非常に優秀なツールです。

 

私がほぼ全自動で取引をお任せしているのはこのEAだけであり、土日は持ち越さないように決済するなど、とにかく安定性を重視した設計になっています。現在の値段は5万円(昔はもう少し安かったのですが、人気と成績を加味して価格が段階的に引き上げられています)と少々高めではありますが、その後の運用ですぐにペイできる可能性が高いので、勝てるEAを探している人はとにかく一度一本勝ちを使ってみてください。

一本勝ちの詳細を見る

  

ツイッターやインスタグラム、LINE@での勧誘には要注意

「月利10パーセントのFX自動売買システムであなたの資産を増やしませんか? AI(人口知能)搭載の最新のシステムです!」「プロのトレーダーが運用を行なって、あなたの資産を増やします!」というような謳い文句で、FXの自動売買システムの利用をSNSで勧誘する事例が多くなっています。損益画像などが添付されており、それを見て「儲かるんだ!」と思ってMAM口座やPAMM口座(大元のトレーダーと同じポジションを取る口座)を作って入金してしまう人もいるのですが、こうした勧誘を行うのは金融商品取引に関する資格の無い個人や業者であり、口座のお金が溶けてしまうリスクが存在します

 

ここまで説明してきた通り「本当に儲かるツール」はそもそも数が限られており一般には出回りませんし、「本当に実力のあるトレーダーが金商法違反のリスクを犯して他人のお金を運用する」ということについても疑問点がいくつも残ります。大抵はIBと呼ばれる種類のアフィリエイト報酬目的だったり、あるいは直接お金を渡すとそのままお金を持ち逃げしてしまうような詐欺師もたくさん存在します。「無資格の他人にお金の管理を任せる」ことでのトラブルは数多く耳にしていますので、十分注意してください。

 

元本保証や契約書は意味が無い

こうしたお金集めをする詐欺師は「元本保証をします」と言ったり、それについての契約書を結んでいるケースもあるのですが、そもそも銀行以外が元本保証を謳って出資を募ることは違法ですし、契約書や金銭貸借に関する書類は、トラブルになった後で相手にお金が無いとわかってもどうすることもできません。裁判で弁済が認められても、返済するための原資が無ければ結局出資した側が泣き寝入りするケースがほとんどです。個人間での運用に関するお金のやりとりはしないように心がけましょう。

 

 

以上、FXの自動売買を始めようと思っている方の参考になれば幸いです。

 

・成績の良いEAを探したい方は以下も参考までにご覧ください。

 

 

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*1:Meta Trader(通称MT4、MT5)で利用できるExpert Adviserの略称。MQLというプログラミング言語で構築された自動売買システムを指す。