アニメーション・漫画・映画など、芸術分野におけるAIの活用

写真や動画の編集やアニメーションなどの分野では、AIが既に導入され、実際の現場で活躍しています。これらの分野では、これまで人間が手作業で時間をかけてきた作業を一瞬で処理するAIが稼働しているのですが、これは「AIが人間の仕事を奪っている」というようなものではありません。芸術分野においてAIがどのように活躍しているのかを見ていきましょう。

 

時間のかかる作業をAIで自動化する

Woman Sitting on Brown Stool

AdobeCelsysのようなクリエイティブツールを販売している企業は、近年AIを用いた技術を駆使して作業者が多くの時間を割かなくてはならなかった作業を自動化する研究を進めていました。実際、現行版のAdobe IllustratorにはAIを用いて被写体を背景から切り抜いたり、切り抜いたポイントに自然な修正を加えるという、本来は手間のかかる作業を自動で行なってくれる機能が搭載されています。

 

現在芸術の分野で活躍しているAIには、このように「人間を補助する形で手間のかかる作業を代わりに実行してくれる」という特徴があります。繰り返し行わなければならない退屈なタスクを自動化することで、人間がクリエイティブな作業に充てられる時間が大幅に長くなるというメリットが存在します。AdobeのAIプラットフォーム"Sensei(センセイ)"を管理するTatiana Mejia氏は「AIはあくまでも人間を補助する形で機能しており、ゼロからの創造性は人間に分があり、その優位性が失われることは(現時点では)考えにくい」という趣旨の発言をしています。

 

Adobeは最新版の製品の発表の際に、映像から特定のオブジェクトを取り除くなど革新的な技術を披露していますが、音声の自動ミキシング機能や光学式文字認識による検索可能なPDFの作成機能など、クリエイターにとって時間はかかるけど地味なタスクを自動化できる機能も提供しており、こうした機能の方がより多くのシーンで役立てられています。

 

色塗りの自動化も実用化段階

Adobeが提供するツールの中で今後の発展が考えられるものに、こんな機能があります。

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プール内を飛び回る犬のビデオを認識し、動画の内容の説明タグを生成することができるというものです。この機能により、タイムライン上で、どんな描写がどの部分にあるのかを一目で確認できるようになるため、特定のシーンを探し出すのが非常に簡単になります。これを用いることにより、シーンのつなぎ合わせ、トリミングなどの作業時間が大幅に短縮できるようになるでしょう。

 

漫画やアニメーション用の素材に自動でカラーリングする機能も、クリエイターにとっては心強いツールだと言えます。CelsysのClip Studio(製品名)のベータ版には、クリエイターが着色のヒントとなる情報を与えるだけで、色ぬりを完了してくれるという機能が登場しています。

日本のアニメ制作の現場では、細かい工程にかけなければならない時間が非常に多く、クリエイターにとって過酷な労働環境が常態化しているという実態があります。今後はこうしたAIが導入されたツールの力を借りることで、作業工程を短縮し、スタッフの労力が軽減され、他の部分でのクオリティを追求したり、もっと多くの作品がアニメ化されて視聴することができるようになる可能性もあるでしょう。

 

参考:AI can make art now, but artists aren’t afraid - The Verge

 

 

 

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