HYIPと法律|勧誘・参加は犯罪になる?確認しなければならない注意点とは

ライトライズやリッチモンドバークスの破綻により、そろそろその危険性に気がついた方も多いかもしれないが、ほぼ全てのHYIPはねずみ講=ポンジスキーム型の破綻前提の案件であり、「投資」どころか「投機」にも値しないものがほとんどである。

 

これらの案件のアフィリエイト報酬が目的で運営されているサイトには「投資は自己責任で」などという注意書きがあるのだが、そもそも破綻前提のねずみ講は投資とは呼べず、これに勧誘したり出資を煽るような行為は、法律的にも「無限連鎖講の防止に関する法律」によって禁止されている。

 

「自己責任で」と言えば免責されると思っているのか、もしくはポンジスキームであることすら理解できていないのか、「ネットビジネス」「新しい投資」「アフィリエイト」などという謳い文句でねずみ講に誘い込む者がネット上で急増しており、非常に危険極まりない。

 

ここ数年で急増しているネットで参加者を募るポンジスキームは、勧誘や参加することで法に触れる可能性もあるので、以下ぜひ目を通していただきたい。

 

 

無限連鎖講の防止に関する法律(通称「ねずみ講防止法」)とは

この法律は、無限連鎖講が、終局において破たんすべき性質のものであるのにかかわらずいたずらに関係者の射幸心をあおり、加入者の相当部分の者に経済的な損失を与えるに至るものであることにかんがみ、これに関与する行為を禁止するとともに、その防止に関する調査及び啓もう活動について規定を設けることにより、無限連鎖講がもたらす社会的な害悪を防止することを目的とする。

無限連鎖講の防止に関する法律第1条 

http://www.houko.com/00/01/S53/101.HTM

 

この法律が制定された背景には1980年頃に大流行した「天下一家の会」というねずみ講が関係しているのだが、ねずみ講が社会・国家に多大なる悪影響を与えた例は他にも数多くあり、国内で暴動が発生するまでに至ったというアルバニア共和国のような事例もある。こうしたことから、日本以外でもねずみ講式の金銭のやり取りは禁止されている国は多くあり、どの国・地域でも大きな危険が伴うものとして認識されている。

 

では、このねずみ講(無限連鎖講)とは、どのように定義されているものなのか、以下確認していただきたい。

 

 

 ねずみ講(無限連鎖講)の定義

 この法律において「無限連鎖講」とは、金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ。)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出えんする金品から自己の出えんした金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう。

 無限連鎖講の防止に関する法律第2条 

http://www.houko.com/00/01/S53/101.HTM

 

この条文を見てみると、2人以上の紹介者が下に付く形で、紹介者を増やせば自分の出資額を上回る金額を受け取れる仕組みになっているのは「無限連鎖講=ねずみ講」だということがわかる。

 

最近のHYIPの案件ではこうしたねずみ講の組織図を「バイナリーツリー」と呼び、紹介者やさらにその紹介者の出資金から得られる紹介料を「バイナリー報酬」などと呼ぶことがあるのだが、それらの報酬はあくまでも紹介者からではなく「運営元から『投資の配当として』支払われるもの」などと定義することで「法律には違反していない」などと紹介する例もある。

 

しかし、組織図や報酬形態を紐解けばそれがポンジスキームであることが明らかな場合も多く、こうした組織であることを知りながら積極的に勧誘を行ったり、参加・出資を募るようなことがあれば、この法律に反することと同義であるという考え方もできる。

 

ねずみ講に勧誘した場合は罰せられる?

同じく無限連鎖講の防止に関する法律では、罰則に関する以下の条文がある。

第5条 無限連鎖講を開設し、又は運営した者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


第6条 業として無限連鎖講に加入することを勧誘した者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。


第7条 無限連鎖講に加入することを勧誘した者は、20万円以下の罰金に処する。

 http://www.houko.com/00/01/S53/101.HTM

 

これを見ると、

5条→創設者・運営者

6条→運営しないかと勧誘した者

7→→参加しないかと勧誘した者

がそれぞれ懲役または罰金による処罰を受けるとされている。

 

では、参加者には罰則規定は無いのだろうか?

 

ねずみ講の参加者も犯罪?

同法律第3条は以下のようになっている。

何人も、無限連鎖講を開設し、若しくは運営し、無限連鎖講に加入し、若しくは加入することを勧誘し、又はこれらの行為を助長する行為をしてはならない。

 http://www.houko.com/00/01/S53/101.HTM

 

これを見ると、無限連鎖講に加入することそのものが禁止されており、参加していなくても勧誘するような行為も禁じられていることがわかる。つまり、罰則規定こそないものの、ポンジスキームだとわかっていながら「儲けられるかも」との思いから参加することも禁止されているのだ。

 

HYIPに関する規制

しかしながら実際のところ、ねずみ講式の詐欺であるのは明らかなのに、勧誘者も参加者も非常に多くいるのがHYIPである。これらの運営組織は「投資」を偽って出資を募っており、法律の盲点を微妙に突いているとも思われる。

 

しかし「先行者利益がある」などと謳っているHYIP案件は、「後から参加すれば損をする」と同義であり、そのような明らかな無限連鎖講に勧誘を行えば、この法律が適用されて処罰される可能性もゼロではないと考えられる。

 

ネットビジネス塾がHYIPの参加者を増やしているという実態

以前上記エントリーでも取り上げたのだが、ネットビジネス塾の運営者(あるいはその関係者)がHYIPを運営しており、新しく入塾した者にSNSやブログを通じて参加者を集める役割を与えているという完璧な詐欺組織も日本にある。

 

ツイッターでは日に日に「投資をやっています」「暗号通貨に投資しています」というようなツイートをする輩が増えている気がするが、こうしたネットビジネス塾の出現がこれに関わっている可能性が高い。

 

「もう少し生活費がほしいな」「新しくネットビジネスを勉強したいな」という幅広い年齢層の方がその塾に参加しているようだが、彼らは自分でも気づかぬうちに犯罪の片棒を担がされるのである。以前はてブ経由で頂いたコメントを拝借するが、「ミイラ取りがミイラになる」それがHYIPの行く末なのだ。

 

 

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