南栄作氏によるTech Frontier Projectと、そのプロジェクトの肝になるTech Boxという仮想通貨のアービトラージアプリについては、先日以下の記事で書きました。
その南氏から、Tech Frontier Masters(テックフロンティアマスターズ)というコミュニティ(グループ)のメンバーを募集するという案内が送られて来ました。このグループに入ると、以下のような特典が用意されているようです。
Tech Frontier Mastersの特典
上記3点がTFMの特典とのこと。
数日前から大々的に「誰でも1日3万円稼げる!」という謳い文句で拡散されていたTech Frontier Projectですが、これはTech Boxというアプリを無料体験できるもので、実際に取引所のAPIを入力してアービトラージ取引をするためには、マスターズの方に入らなければいけないのです。
TFMはおそらく有料→追記:価格は9万8000円
TFMの詳細が2018年9月1日の20時に公開され、当初の予想通り有料、価格は9万8000円と約10万円することがわかりました。無料のアービトラージツールで1日3万円も簡単に稼げるわけがありませんからね。まぁ有料でも難しいかもしれませんが……。
10万円のTech Boxは本当に稼げるのか、「初月から90万円稼げる」と謳うのは本当なのか、気になっている人は多いと思いますが、アービトラージの本質を考えると「稼げるツール」を配布するのは、板の薄い仮想通貨の市場ではそもそも運営者の利益を減らすことに直結します。
「ツールが本当に稼げるなら、配らずに自分だけで運用しないと利益は小さくなってしまう」のです。そしてなぜ自分の利益を減らしてまでツールを販売・配布するのかと言うと、「ツールを運用するより売りつけた方が儲かるから」という理由に他なりません。この辺りは下記の記事に詳しく書いているので、良かったら参考までにご覧ください。
▼参考記事
TFMでは他にもICOの情報が得られることや、スタッフの手厚いサポートを特典にしていますが、わざわざ怪しい人たちにお金を払ってまで怪しいICOを教えてもらうのはどうなんでしょう。(笑)
有料で怪しいグループに入って、怪しいアービトラージでなんとか回収できたと思ったら、利益の3分の1は怪しいICOに入れなければならない。入れば最後、搾取されて養分になって終わりだと思います。
特典の一部になっているビットコインFXのツールが危険?
Tech Frontier Mastersの入会7大特典として掲げられているものの一つに、Trading Viewで起動可能なビットコインFXの自動売買ツールの利用権利があります。ランディングページの画像をみる限りは一見収益が上がっているツールに見えるのですが、実はこれは「損をしてしまう可能性がかなり高いツール」です。
こちらはランディングページの画像を切り抜いたものですが、注目するのは上の方の赤い文字「最大ドローダウン 27.41%」という部分です。これはTrading Viewというチャートを表示させるツールでバックテストを行った時のデータなのですが、「最大ドローダウン」とは、証拠金の一番多い時から一番少なくなってしまった時に、資産が何パーセント減ったかというのを示すものです。
このツールは312回のトレード試行回数がある中で、総資産を27.41%も減らしてしまう機会があったということがわかります。細かいレバレッジ設定などは不明ですが、勝率が83パーセントでこれだけドローダウンが大きいということは「コツコツ増やしながらも、損切りが遅くて大負けしてしまう可能性がある」というツールであることは明らかです。
正直Trading ViewのBOTテストはカーブフィッティングと呼ばれる作業をして過去のチャートと売買ポイントを調整すれば、一見勝てるようなテストデータを見せることは比較的簡単です。このツールの提供も9万8000円する会員価格の中に含まれているものと思えますが、「安定して資産を増やせるツール」とはかけ離れていますのでご注意ください。