ご存知SBIグループが運営しているSBIソーシャルレンディング(SBISL)は、他のソーシャルレンディング業者と比較しても高い人気を誇っています。この記事ではSBIソーシャルレンディングの特長や利回り、手数料などの基本情報から、デメリット、リスクの部分も徹底的に解説していきます。SBISLへの投資を検討している方はぜひご覧ください。
運営会社
SBIソーシャルレンディングの運営会社は、銀行業、証券会社の運営でもお馴染みのSBIグループが100%株主となっているグループ子会社です。
会社概要
社名:SBIソーシャルレンディング株式会社
代表取締役:織田貴行
所在地:東京都港区六本木1-6-1 泉ガーデンタワー13F
事業内容:ソーシャルレンディングサービスにおける出資募集業務、貸金業務
設立:2008年1月24日
株主:SBIグループ(100%)
資本金:1000万円
免許・営業許可等
第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第2663号
金融商品取引業協会:一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
貸金業登録番号:東京都知事(3)第31360号日本貸金業協会会員 第005783号
SBI運営で資本体制もバッチリ
SBIソーシャルレンディングはSBIグループの完全子会社ということで、資本体制やコーポレートガバナンス等の運営面での不安はほぼ無いと言って良いでしょう。資本金こそ競合他社よりも少ない1000万円ですが、グループ総資産1800億円以上を誇るSBIのバックアップがある点を考慮すれば不安視する要素ではありません。
代表の織田貴行氏は金融業界での長年の経験が光る
SBISLの代表取締役である織田貴行氏は、1977年に野村證券に入社。その後ソフトバンクを経てSBIの前身である大澤証券に入社し、2003年にはFXや商品先物取引を行なっていたSBIフューチャーズ(後にSBI証券と合併)の社長職に就き、2008年からは同年設立されたSBIソーシャルレデンィングの代表に就任しています。競合他社の代表と比べても金融業界での経験は豊富で、さすがSBIグループの子会社を任されているだけの人物です。
メリット・特長
SBIソーシャルレンディングを競合他社と比較すると、以下のようなメリット・特長があります。
- 低い利回りの堅い案件から、高利回りの案件まで、色々なファンドを提供している
- 不動産担保型ローンでの安定感は抜群(これまで元本毀損無し)
- オーダーメード型ローンファンドは高利回りでリスクも限定化されている
- 返済遅延発生時の対応も素早く明瞭
では、それぞれの詳細を見ていきましょう。
安定性重視のものから高収益のものまで、ファンドの数が豊富
SBISLは扱う案件の種類が豊富で、期待利回りは年利3~5%の不動産担保ローンの安定性重視のものから、高いものになると年利10%付近の高収益が期待できるものがあります。太陽光発電事業者ローンファンド(期待利回り7%)や、不動産バイヤーズローンファンド(期待利回り7.5%)など予定年間利回りが6~7%の案件は特に人気が高く、案件が募集開始されるときにはクリック合戦が加熱することがしばしばあります。
ただ、その案件募集開始のタイミングが平日の日中であるケースも多く、会社員など仕事をしている人からは申し込みすらできないという不満が上がることも多くなっています。同様の問題はSBISLと同じく人気業者のOwnersBook(オーナーズブック)の案件でも発生していますので、こればかりは人気業者故の宿命と言えるかもしれません。
不動産担保ローン事業者ファンドはデフォルト無し
SBISLの案件の中でも最も堅実なパフォーマンスを出している不動産担保ローン事業者ファンドは、これまで150回以上募集されてデフォルト(債務不履行=元本割れ)となった案件はひとつもありません。安定運用で年利3~5%の配当を受け取ることができるので、特に高齢者から高い人気を集めています。
一方で、これまでデフォルトして元本割れで償還を迎えた案件は、不動産バイヤーズローンファンドで数が比較的多くなっています。この理由として考えられるのは、不動産価格はやはり市場の影響を受けやすく、見込み通りのパフォーマンスを得られない場合もあるというものです。投資にリスクはつきものですので、投資家は金利とリスクをきちんと照らし合わせて投資判断を行うことが求められます。
オーダーメード型ファンドの特色
SBISLが募集するオーダーメード型ファンドは、太陽光発電・バイオマス発電などの再生可能エネルギー事業を始めとする、投資対象として非常に魅力的な案件が多くあります。最近の傾向を見ると、太陽光発電は新規参入事業者は売電価格の低下により儲かりにくくなっているものの、SBISLが扱うファンドの融資先事業者は過去に認定を受けた際に、現在の売電価格の約2倍の金額で買取してもらうことが保証されている事業者のため、比較的収益が見込みやすいのです。
売電価格「36円 /kWh」の太陽光発電事業
平成30年度に事業計画の認定を受けた太陽光発電所の売電価格は、既に18円まで低下しているものの、本ファンドが対象とする太陽光発電所は、平成25年度に設備認定された売電価格36円の太陽光発電所です。
また、それぞれの案件で複数の発電設備等を担保に設定して、元本の安全性を高め、リスクを限定化する体制が整っています。そのため、特にメガソーラー発電に関するファンドは人気が高く募集枠が応募開始直後に埋まってしまうケースが多いです。
SBISLの返済遅延事業者への対応
SBISLの募集ファンドでは、過去何度か返済遅延・デフォルトが発生してしまっていますが、その際の素早い対応は投資家からも評価されています。多くの延滞案件では、担保に設定していた物件を押さえ、その後担保物権を速やかに売却して顧客への弁済原資を確保するまでの一連の対応がスムーズに行われています。ここ数年でソーシャルレンディング業者の淘汰もかなり進んだ印象がありますが、やはり大企業のグループ会社であるSBISLはトラブル発生時の対応も良心的だと言って良いでしょう。
デメリット・リスク
- 「元本割れ」は発生している
- 人気が高く募集枠が埋まって投資できないケースも多い
デメリットとリスクについてはここまででも触れている内容ですが、改めて確認をしておきます。
元本割れは発生している
「SBIソーシャルレンディング デメリット、リスク」などと検索すると、誤った情報に基づいて「SBISLのファンドでは元本割れ(元本毀損)が起こったことは無いので安心です」と表記しているWEBサイトがありますが、債務不履行が確定して投資家の回収額が元本よりも少なくなってしまったファンドの募集は複数あります。ファンドの種別を見た上で「不動産担保ローン事業者ファンド」に限定して見ると、この記事でも説明している通り元本割れはありません。この点を混同しているのか、最新の情報に更新されていないのかはわかりませんが、正確でない表現を用いているメディアもありますので、情報収集を行う際は注意しておきましょう。
これまで元本割れが一度も発生していない業者にはロードスターキャピタル株式会社が運営するOwnersBook(オーナーズブック)があります。この業者もSBISLと並んで大人気の業者ですので、堅い投資案件を探している方はチェックしておきましょう。
申し込み殺到で投資できない場合も多い
SBISLの募集ファンドはどれも高い人気ですので、応募開始直後に枠が埋まってしまい結局投資できないという嘆きの声も多く上がっています。これについては、正直SBISL自体が人気で登録者数も多いため、ある程度は仕方ない部分があると思います。私はこのデメリットを解消するために「SBISLに負けず劣らない優良案件を扱う新興業者んファンドを利用する」という方法を選択しました。
新興業者の中でも私が一番注目しているのは、空き家再生事業をメインに手がけるFANTAS funding(ファンタスファンディング)という業者です。期待利回りは8~10%と比較的高めに設定されていますが、ここ最近実績をきちんと積み上げ、信頼性も高まっています。全案件に不動産担保がついていてリスクを限定化する取り組みも図っている業者ですので、気になる方はチェックしてみることをオススメします。
手数料
会員登録や口座開設は無料です。投資をする際にSBISLの口座にお金を入金しなければいけませんが、この時住信SBIネット銀行を利用すれば振込手数料等はかかりません。他行口座から入金する場合は、それぞれの金融機関が設定する振込手数料の負担が必要です。
他には、各ファンドごとに管理手数料が設定されており、これは分配金から源泉所得の控除と一緒に差し引かれます。管理手数料は投資信託で言うところの信託報酬的な位置づけと考えていただければ大丈夫です。
また、ファンドの分配金が延滞で債権回収の委託業者が介入した場合には、分配収益から委託手数料等が差し引かれる場合があります。これは予め比率などはわからない手数料ですので、配当の遅延やデフォルトが起こった際にSBISLから発表されるレポートなどで確認する必要があります。
実際に投資している人の口コミ・評判
本日のSBIソーシャルレンディング案件はやはり人気でした。募集金額12億円に対して、開始8分で5千万円超え、12時過ぎに見たら募集金額到達済みでした。 pic.twitter.com/3TjxI3JtQT
— yusuke (@yusuke12125) March 11, 2019
#wbs で放送された #SBIソーシャルレンディング の概要
— あっきん@投資家*元公務員 (@_akkin_nara) April 20, 2018
ネットの手軽さと低金利を背景にソーシャルレンディングが人気を集めてる
銀行からの融資だけでは資金が集まらない企業が資金調達の手段としてソーシャルレンディングを選ぶ
番組では10分で4億5千万の資金が集まる様子を放送(597人が投資) pic.twitter.com/t3gVo8Ku4A
現在注目しているのが、SBIソーシャルレンディングがどこまでmaneoに迫るかという点。今の状況が続けば、SBIソーシャルレンディングはIPOに近い人気になってもおかしくない状況。今後、本サービスが呼び水となって市場全体が活性化される可能性は高いと見ています。
— ソーシャルレンディング屋さん (@sociallending7) March 31, 2018
SBIソーシャルレンディングで延滞中のファンドだが、一部損失が確定の見込み。(元々の投資額が少ないので被害は少ない)
— Yasutansan (@yasutansan) November 1, 2018
SBISLの債務者審査のいい加減さを再認識。延滞発覚後の行動は概ね適切だと思うが。
延滞発覚後に投資中止したが、SLはミドルリスクローリターンと思うので今後も再開しない予定。
先日SBIソーシャルレンディングから延滞債権の競売結果の通知。
— Yasutansan (@yasutansan) January 29, 2019
これまでの分配金受領や昨年11月計上の確定損も含め、どうやら投資金額の2割弱程度の損失になりそう。
そのファンドへの投資額は最低額の5万円だったので、1万円弱の損失。
1万円でも痛いけど、多額の投資をしていたら相当痛いかも。
ネット上の口コミ、評判をまとめてみると、人気の高さは引き続きあるものの、直近の募集でも延滞が発生していることは事実であり、ソーシャルレンディングのリスクの高さも再認識させられるなという印象でした。SBISLは母体であるSBI信仰というか、これはどんな案件にも当てはまると思いますが、そういう「目に見えない部分の信頼」で人気を獲得している側面があり、実績と照らし合わせると過剰人気では無いかという指摘をする人もいました。
確かにmaneoやラッキーバンク、みんなのクレジットなどソシャレン業者の不祥事も相次いだため、相対的にSBIが良く見えすぎている可能性は否定できません。コーポレートガバナンス体制などSBIグループだからこそ信頼できる部分は大きいのですが、それでもやはりリスクがある金融資産だという点は頭に入れておく必要があります。
ただ、これは一般論の話で、実際には投資信託も株も社債も、どんな金融商品にもリスクは付き物です。その上で金利のほぼつかない預金だけをするのか、あるいは少しでも資産運用をするのかは自分できちんと考えて行動するようにしましょう。
総合評価
ここまでご説明してきた要素を踏まえて、SBIソーシャルレンディングの総合評価は「AA+ランク」とレーティングします。SBIという運営母体の箔が付きすぎているのでは無いかという指摘もありますが、やはり運営体制としては競合他社よりも信頼できる部分が大きいと思います。
私は2016年からソーシャルレンディング投資を行なっており、SBISLは2017年から使い始めていますが、ある程度リスクを許容した上で高利回りの案件を中心に選んで資金を投じています。これまで私が投資したファンドでは元本割れが無いのですが、引き続きリスクを考慮して分散投資を行うというスタンスで資産運用を行うつもりです。
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