ビットコインETFが導入されると仮想通貨市場はこうなる

ビットコインETFが承認されると大口の投資家やファンドの資金が流入してビットコインの価格も上昇する」という意見を述べる人は多いのですが、果たして本当にそうなのか、十分検証している人は少ないように思えます。

 

CBOEETFは、いくつか申請されているなかでも承認される可能性が高いと期待されている大本命なのですが、CBOEビットコインETFの評価額の算出に利用される「MVBTCO」という15秒ごとに更新されるインデックス型の価格評価指数についても、その指数に有用性があってもビットコインETFに投入される資金が現物のビットコイン購入に全て充てられる訳ではない以上、ビットコインの価格変動リスクはこれまでとなんら変わらず、個人はもちろんファンドなどにとっても自身の資産形成のためのポートフォリオビットコインETFが占める割合が高くなるようには思えません。

 

 

 

 

 

私は、ビットコインが現状リスク資産の一つで今後も価格変動リスクは大きく変化しないという前提の上で、ビットコインETFによって利益を得るのは個人投資家ではなく、その売買を提供する証券会社だけではないかという見方をしています。

 

サブプライムローンの破綻とリーマンショックによる世界的な株安は記憶に新しいところですが、そもそもこの恐慌が引き起こされた理由を紐解くと、サブプライムローンというリスク商品をヘッジファンド投資信託の運用先として高配当の利回りを謳ってポートフォリオに組み込み、そこに投資マネーを集中させてしまったという影響が大きくありました。

 

同じようにビットコインETFが承認されれば、ファンド・証券会社が投資信託の運用先にこのボラティリティの激しいリスク資産を組み込むことが可能になってしまい、そうした投資信託のパフォーマンスが市場に与える影響も大きくなっていくことが予想されます。

 

そもそも投資とは、単純に儲かれば正義というものではなく、市場のお金を上手く流動させ、景気を適度にコントロールする役目も担っているものですので、高ボラティリティで成長の持続性も不透明なビットコインのようなリスク資産にお金が流入しすぎることは、本来積極的に好まれるべきではないというのが真実だと私は思います。

 

分刻みで価格が乱高下するビットコインビットコインETFという形でお金が流入するのは、実は既存の仮想通貨ホルダーにとっても手放しで喜べる結果ばかりを生み出すとは限らないのです。

 

ビットコインETFの導入で確実に儲かるのは、一時的に売買の出来高が増加して手数料を取ることができる証券会社だけで、ビットコインの魅力の一つでもある高ボラティリティという側面が今後も続くとすれば、購入する投資家や世界の金融にとってはマイナスの影響も大きいということに関する検証が甘い現状は、危険だと言わざるを得ません。承認が決まっておらず期待だけが語られている現時点でも、金(ゴールド)のETFとその後の金価格の上昇のチャートを今のビットコインのチャートと並べるのは金融市場の本質・意味を取り違えているように思えてなりません。

 

ここ1、2年の価格の急上昇でハイリスクであることが少し軽視されてしまっているかもしれませんが、ビットコイン価格の変動で世界的な不況が訪れるような「ビットコインショック」が、ビットコインETFの承認をきっかけに生じる可能性も決して低くはないのです。