仮想通貨(ビットコイン・アルトコイン)のアービトラージツールは儲かる?

最近の仮想通貨(暗号通貨・暗号資産)ブームに乗じて、取引所間の「価格差(サヤ取り)」で儲けを出す「アービトラージ」という手法が注目を集め、そのためのツールやアプリなども高額で販売されています。結論から言うと「アービトラージには儲けるチャンスはあるが、BOTやツールが普及すると難しい=本当に稼げるツールが配布されるようなことはほとんどない」というものになります。ここからは、その理由や、そもそものアービトラージの仕組みなどを開設していきます。

 

 

アービトラージとは

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 裁定取引アービトラージ)とは、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする取引のこと。機関投資家などが、リスクを低くしながら利ざやを稼ぐ際に利用する手法です。株価指数等の現物価格と先物価格を利用した取引などが代表的です。

 

http://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/sa/J0288.html

上記内容を仮想通貨・ビットコインで考えてみましょう。例として、コインチェックビットフライヤービットコインの価格に差があると仮定します。

 

▼BTC価格に差が生じているとき(例)
コインチェック:買45万円/売44万円
ビットフライヤー:買43万円/売り42万円

ビットフライヤービットコインを43万円で買い、コインチェックで44万円で売ると、価格に差が出ていた1BTCあたり1万円が利益になります。仮想通貨におけるアービトラージとは、このように取引所間でレートに差がある時にそのサヤを利用して儲けを取るという仕組みのことを指します。

 

なぜ取引所間の価格差は生まれるのか

ビットコインなどの仮想通貨は需要と供給によって値段が付けられ、トレーダーを中心に取引所で売買されています。そのため、取引板によっては受給関係が全体的な傾向と一時的に逆行し、アービトラージが可能な価格差が生まれることがあります。

 

先ほど例に上げたような取引所間の価格差は、最近の日本の取引所では1万円という顕著な差がずっと出ていることはありませんが、それでも常に生じています。

 

また、これは国外の取引所にも目を向けることで、さらにチャンスが広がります。例えば最近中国でビットコインの取引が禁止されるというニュースが流れた際には、中国の取引所では日本やその他の国の取引所よりもさらに価格が下落しました。このとき、中国の取引所でビットコインを買い、日本の取引所ですぐに売るというようなことができれば、それだけで儲けを出すことができるのは事実です。

 

価格差はすぐに是正される

しかし、実際には取引所間の価格の歪みは多くのトレーダーが目を付けていますので、すぐに均衡を保つように動くケースが多いです。ただし、取引量(ボリューム)の少ないアルトコインの場合は依然として極端な価格差が取引所間で生じることもあるため、最近販売されているアービトラージツールはそこに目をつけたシステムになっているものが多いようです。

 

ただし、これに気がついて実行する人が増えれば、

1.取引所Aでアルトコインを買う

2.取引所Aから取引所Bにアルトコインを送る

3.取引所Bでアルトコインを売る

ということをしようとする間に、価格差が埋まってしまう場合がほとんど。それを防ぐためには、各取引所に潤沢な資産を置き、価格差が生じたときに常に対応できるようにBOT(ロボット=自動システム)を稼働させたりする必要があります。

 

CFD(差金決済取引ビットコインFX)を利用する方法

ビットコインアービトラージビットコインFXと呼ばれるCFD取引で行われているケースも多いです。現状、ビットコインの差金決済は現物取引よりも出来高、取引量が大きいのですが、大きな成り行き注文が入った際にフェアレート(他の取引所で取引されている価格などから判断した平均価格)から離れた価格で売買できるタイミングが一瞬生じることがあります。そのタイミングで指し値注文で安く買う・高く売るというトレードを繰り返すことで利益を上げることができるのです。

 

MM BOTアービトラージの一手法を用いている

これは「片掛けアービトラージ」と呼ばれることもありますが、CFD取引でポジションを持つ際に反対売買を行わず売りまたは買い片方だけのポジションを持つことに由来しています。ビットフライヤービットコインFXを利用したマーケットメイクBOT(MM BOT)が一時期流行したことがありますが、マーケットメイクBOTは基本的にこの戦略で利益を上げられるように市場価格と取引板の価格差を算出し、指し値注文を繰り返す仕様になっています。

 

アービトラージのメリットとリスク

アービトラージはノーリスクで稼げる」という点などが強調されて未だに有料のツールが販売されていたりしますが、これまで説明してきた通り、本当に稼げるツールが出回ることは経済合理性の観点から考えて絶対に無いと言い切って良いと思います。もちろんロジックとしては極めて低リスクで利益を実現できるため、実際に期待値があるレベルで運用できるのであればやるメリットは大きいです。

 

ただ、まだまだ市場でチャンスのあるアルトコインアービトラージに関しても、仮想通貨全体の下落の際にはビットコインベースでは利益を出せていても、フィアット換算でマイナスになってしまうというリスクも存在します。そして、アービトラージは1回あたりの利益は少ないので、数百万円単位のお金を用意して売買を繰り返さなければいけません。CFD取引を利用する片がけアービに関しても、成り行き注文で生じる価格差が根本的な需給バランスの変化によって相場が急変動したタイミングでは、大きな含み損を抱えてマイナスになる可能性も決して低く無いです。

 

アービトラージにはこういったリスクがある点はきちんと理解しておきましょう。

 

仮想通貨アービトラージツール(アプリ)のまとめ

アービトラージを常に取引板に張り付いて手動でやろうとするのは、ほぼ無理です。シグナルで教えてくれるツールなどがあっても、取引所から取引所にコインを送り合って回さなければいけない資産状況では、効率よく実行するのは難しいでしょう。取引所のAPIを使った自動取引機能がついているBOTならば、なおさら「利用者が増えたら旨味が少なくなる」という事態が生じるので、アービトラージツールで儲けを出せたとしてもそれは一時的なものに過ぎないですし、販売する側にとってもその旨味を手放すことになりますので経済的合理性も皆無と言えるでしょう。

 

仮想通貨マーケットも流動性が高まり、アービトラージに目をつけてBOTを開発・利用する人も増えてきたので、これまで価格差を利用した低リスクの取引で儲けられていた人があまり利益を出せなくなってきたのかもしれません。そのような人が、「旨味が薄れてしまった既に過去のツール」を高値で販売している可能性が高いのではないでしょうか。

 

「ノーリスクで簡単に儲けられる」というおいしい話には気をつけましょう。そのツールに手を出すことが最大にして最悪のリスクです。

 

playbaseball.hatenablog.com

上記の記事では、過去にBIttrexという海外取引所で利用できると言って拡散されたアービトラージツールが、実は悪意ある運営によって仕掛けられたものだった疑惑について報じています。

 

コインの売買手数料を抑えるツールについて

アービトラージとは趣旨が少し異なりますが、コインの両替・売買に関するオトクな情報をシェアします。

 

ビットコインアルトコインの売買をしている人で「手数料」を気にしている人はあまりいないかもしれません。しかし実は特に日本の取引所を使っている人にとって、手数料はバカになりません。例えば、コインチェックを例にとってみると、売買の際にそれぞれ3パーセントほどの手数料が取られています。

 

▼1LTC(ライトコイン)を購入した場合

購入時のレート1LTC=8000円

売却時のレート1LTC=8500円 とします

・購入する際に3%の手数料が取られる=1LTCを8240円で購入

・売却時にも3%の手数料が取られる=8500円分の1LTCを8245円で売却

コインチェックでは、8000円から8500円に6.25%値上がりしても、手数料で5円しか儲からない

 

こうした手数料損を回避するためには、BittrexやPOLONIEXといった海外の取引所を利用するのがポピュラーな手法ですが、Changelyというツールを使うと、BTCやETH、XRP、DASHといった主要な仮想通貨を含めた全37種類(現時点)の通貨の両替手数料が一律0.5%に抑えられます(これはBittrexやPOLONIEXの手数料と遜色無いです)。

 

また、基本的に海外の取引所ではBTCとアルトコインを取引するのが一般的ですが、ChangelyではXRPからDASH、ZECからETHというように、アルトコインアルトコインの両替も手数料が0.5%に固定されているため、手持ちの仮想通貨同士を値動きや需要に応じて瞬時に交換することが可能です。

 

特に海外では人気でかなりの人が利用しているサービスですので、アルトコインを売買している人はぜひ使ってみましょう。

 

▼Changelyの詳細を見る