貯金と投資どちらも大切!適切なバランス(割合)を解説します

最近は20代の若い人から老後の高齢者まで、多くの人が投資・資産運用に興味を持つ時代になって来ました。一方で、「投資に失敗してしまった」という話は度々聞きますし、逆に「貯金しかしていなかったけど、あのとき気になっていた投資を始めていれば資産はもっと増えていた」と言うケースも少なくありません。この記事では、貯金と投資の考え方とバランスについて解説していきます。

 

 

なぜ投資は大切なのか

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ピケティという経済学者が発表した『21世紀の資本』という本は、大きなインパクトを与えました。その本の中ではあるシンプルな不等式が紹介されていたのですが、それが現代の資本主義経済で生きる上での真理だとして人々に資産運用の重要性を印象付けたのです。

 

r > gの法則

「r(return)はg(growth)より常に大きい」これがピケティが提唱した不等式です。これまでの世界中の経済動向を分析した上で、彼はこの法則を見つけ出しました。returnとは投資商品の値上がりによる利益のことで、growthは経済成長を表します。つまり、「株や不動産の値上がり率は、経済成長よりも常に大きい」というのがr > gの不等式が示している事実です。

 

アベノミクスという言葉も最近では下火になってしまいましたが、安倍首相が総理大臣に就任してから「年2パーセントのインフレ」という目標を掲げながら経済政策が行われています。実際に彼が首相になってから日経平均株価は上昇していますが、あなたの給料はこの恩恵を受けて上がっているでしょうか? もしこの経済政策を実感できないと言っても、それは不思議な話ではありません。そもそも株式の値上がりと経済成長はイコールではありませんし、何より金融商品の値上がり比率の方が、経済成長による給料の値上がりよりも大きい」というr > gの法則がこの日本でも実際に起こっているからです。

 

「投資をしない人は恩恵を受けられず、少しでも株を買っていた人は大きく儲かった。」不公平にも感じられるかもしれませんが、これは世界のどこでも起こっている現象であり、今後の日本でも根本的な社会構造が変わらない限りはずっと続いていく法則なのです。そして、投資をしない人は相対的にどんどん貧乏になっていきます。お金持ちはどんどんお金持ちになります。それが21世紀の資本主義社会なのです。

 

今後の内容は、この事実を踏まえた上でお読みください。

 

投資は少額からでもできる

投資をやっていない人の多くは「投資は最初の資金がたくさんないとできない」という勘違いをしています。「投資はリスクがあるからやらない」という人ももちろんいますが、投資について知れば知るほど「投資(資産運用)はした方が有利だ」と考えを改めることになる人が多いです。

 

確かに投資の元手は大きい方が有利ですが、投信積立などを使えば、月に数千円程度のお金を積み立てて資産運用をすることが可能ですし、今はワンコインから始められる投資のサービスも出て来ています。そして、これらのサービスをきちんと理解して投資をやるのとやらないのでは数年後・数十年後の資産形成状況に大きな差が生まれて来ます。

 

短期と中長期の目標設定

投資をする上では、「何のために貯めるのか」を踏まえた上で目標を立てておくことも重要です。旅行に行くためのお金など、比較的近い予定の支出に充てるためのお金を貯める場合は、食費を切り詰めるなど一時的な施策でお金を用意をすることも可能ですが、家や車を買うための費用や、子育てをする上で必要になってくるであろうお金、老後の生活資金などは、中長期的な見通しを持って貯蓄を継続する必要があります

 

家計簿をつけて、支出を抑えるor副業で稼ぐ

貯金を増やすためには、無駄な支出を抑えて手元に残るお金を増やすか、もしくは副業・アルバイトなどでお金が入ってくる量を増やしてその分を貯めるかのいずれか、もしくは両方を行う必要があります。どちらの選択肢を取るにせよ、自分のお金の使い方が適切なのか、どれくらい貯められる余地があるのかを考えるために、まずは家計簿をつけることをオススメします。最近はスマホのアプリで簡単に家計簿をつけられるようになっていますので、それを利用して自分の収入と支出をきちんと可視化し、その上で貯金の計画を立てるようにしましょう。

 

副業をする場合は、バイトなどであればすぐに収入増加が見込めますが、ネットビジネスなど自分でビジネスを立ち上げる場合は、収益がきちんと上げられるようになるまで時間がかかるということは抑えておきましょう。

 

また、アフィリエイトなどの場合は、報酬が確定してから振込みまでに2ヶ月〜3ヶ月ほどのギャップがあります。ブログ広告でお馴染みのアドセンスは報酬が手に入るまで比較的早く、翌月末までには広告料が振り込まれますが、その他のASPや広告収入はキャッシュフローが良くないということを興味がある方は覚えておきましょう。

 

 

 

収入と貯蓄の割合

Photography of One US Dollar Banknotes

今あなたは、毎月の収入のどれぐらいの割合を貯金や投資などに回していますか? 20代の若い人を中心に「貯金する余裕が全く無い」という生活をしている人も多いかもしれませんが、貯金は「自分を守るため」にも必要なものです。そして、食費や家賃、光熱費など「必要最低限のお金」以外をきちんと貯める習慣ができると、不測の事態にも備えることが可能です。

 

貯金と投資の比率を決める前に、まずは「自分の給料のどれぐらいの割合を貯蓄に回すことができるか」ということを改めて計算してみましょう。もちろん趣味などに使うお金は自分の生活を豊かにするものですので、中々削るのは難しいかもしれません。しかし、食費などを少し見直すと月収20万円程度でも1万円ぐらいは浮いたお金が見つかるケースが多いです。

 

まずは収入の1割の貯蓄を目指す

そして、まずは「収入の1割を貯蓄に回す」ことを目指してみてください。既に達成できている人は優秀ですね。給料・収入の1割を貯蓄することができていれば、1年間で1.2ヶ月分の給料相当額が貯まります。これを数年続ければ、仕事を辞めざるを得ない状況になっても失業保険(雇用保険)を受け取るまでの間もある程度困らずに生活できますし、病気や怪我などで働けなくなってしまった場合にも安心です。

 

まだ貯蓄を一切できていないという人は、「収入の1割を貯めて、給料3ヶ月分を万が一に備えて確保しておく」というプランでまずは貯蓄を始めましょう。ある程度お金を貯める習慣ができたところで、貯金と投資のバランスについて考えていきます。

 

1割以上貯められる・十分な貯金がある→投資をしましょう

実家暮らしで家賃がかからないという人や、それなりに収入がある人にとっては収入の1割以上を貯金するのは比較的簡単だと思います。その場合は、ぜひ投資を始めましょう。また、既に自分の年収分ぐらいのお金がある人は、仮に仕事を辞めても2年ぐらいは失業保険(雇用保険)を受給しながら生活することが可能です。今のご時世に中々年収分を貯金できている人は少ないかもしれませんが、目安として半年分の給料に相当する額を貯められているのであれば、投資にお金を回した方が効率が良くなります

 

少額投資のデメリットと現金保有の重要性

一方で、貯金を十分にできていないのに投資を始めてしまうと、急な現金の入り用があったときに投資商品を売って換金しなければならず、利回りのパフォーマンスや手数料でかえってマイナスになってしまう可能性もあります。何かあったときには必ず現金が必要になります。そのため、「まだ全く貯金ができていない」という人は最低でも2ヶ月分の給料に相当するお金を貯めてから資産運用を始めた方が良いでしょう。

 

貯金が無くても「これから給料の1割以上貯金していける見通しがある」という場合は、「1割を貯金をして、余った分は投資に回す」というスタイルを取るのがベターです。

 

 

 

少額の投資は積立投資が便利

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確定拠出年金iDeCo)、NISA、つみたてNISAについて

投資信託(投信)の積立や「つみたてNISA」という制度を利用すると、数千円の単位から投資を始めることができます。また、つみたてNISAや確定拠出年金iDeCo)の制度を利用すると、税金も節約しながら資産運用を行うことが可能です。これらの制度は利用しないと損だと言えるほど優遇されている制度ですので、必ずチェックしておきましょう。

 

ファンドの選び方

数ある投資信託のファンドの中からどれを選べば良いかわからないという人は、まずは「インデックスファンド」への投資から始めるのが良いでしょう。これは一つの株のカテゴリーから上位銘柄を選択して分散投資を行なっているファンドで、パフォーマンスも安定しているものが多いです。

 

REIT、不動産投資のメリットとリスク

また、2018年はJ-REIT(リート)と呼ばれる日本の不動産を投資対象としているファンドで成績の良いものが多くありました(年利10%を超えるようなものがいくつかありました)。これからの日本は少子高齢化と人口減少に伴って不動産の価値も下がるのではないかという見通しもあるため、もちろんリスクはあるのですが、少額で不動産に投資するにはこのようなファンド商品を利用する方法もあるため、気になる方は下記の記事もチェックしてみてください。

 

▼参考

playbaseball.hatenablog.com

 

毎月分配型ファンドは手数料が割高

投資信託の中で毎月配当が出る毎月分配型のファンドは、特に初心者の方からの人気が高いのですが、実は毎月分配型のファンドはあまりオススメできません。というのも、毎月の分配金を支払うためにファンド資産を切り崩して分配金が支払われるというケースがあったり、手数料が割高になっている場合もあるからです。

 

詳しい説明はここでは省きますが、中長期での資産運用を前提にしていて、分配金も再投資をする設定にしているなら、毎月分配型ではなく年2回決算ぐらいのファンドにしておくのが良いでしょう(投資先が同じでも、分配金の支払い方式によって違うファンドになっているものがあります)。

 

積立投資とドルコスト平均法

投資信託の毎月積立設定を行うと、一時的に投資信託の評価額・基準価額が下がったときでも保有数量は増えるため、その後評価額が上昇した際にきちんと資産を増やせるというメリットがあります。このような運用方法のことをドルコスト平均法と言います。投資で一番効率が良いのは「安いときに買って高いときに売る」という手法ですが、前述の通り中長期のスパンで株価は上昇していくという考え方の元、予め積立設定をしておくのが投資成功のカギです。

 

例えばリーマンショックなどで株式相場が大きく下落した局面では、それ以前に積み立てていた資産はマイナスになってしまう投資家が多くいました。しかしその局面でも積立を続けて日経平均が1万円以下のときに株式ファンドに投資していた人は、その後の株価の上昇を受けて資産を大きく増やすことができました。過去に株式相場は暴落と高騰を繰り返していますが、天井と底を完璧に見極めるのはどんなに優秀なトレーダーでも困難です。

 

それを投資初心者ができるでしょうか? たまたま以外ではあり得ませんよね。したがって、積立投資・ドルコスト平均法を利用するのが賢明だという結論に至るのです。

 

ポートフォリオを考えよう

最近はインドなど新興国への投資も注目されており、これからの経済成長を考えると、日本やアメリカを投資対象とするよりもリターンは大きい可能性が高いです。しかし、新興国への投資はリスクも高いため、投資先を全て新興国にするというのはあまりおすすめできません。

 

そこで「ポートフォリオ」を作り、自分の資産のリスク・リターンについて分析を行なっておきましょう。ポートフォリオとは、どの資産をどれくらい保有しているかという比率を可視化したものです。

 

 

  • 国内株式(現物):25%
  • 米国株式(現物):20%
  • 国内インデックスファンド:15%
  • 新興国ファンド:15%
  • J-REIT:15%
  • ETF:10%

あくまでも一例ですが、ポートフォリオはこのように示されます。円グラフが用いられるケースも多いです。「国内株式」「米国株式」とひとくくりに言ってもそれぞれの銘柄でパフォーマンスは変わって来ますし、その企業の業績そのものは良くてもリーマンショックのような世界同時株安がこれから起これば、インデックスファンドやJ-REITのパフォーマンスにも影響が及ぶでしょう。

 

それでも、近・現代を通じてr > gの法則はどの国・地域でも見られる現象であり、投資を躊躇しているうちにお金持ちから搾取される生活を強いられるようになってしまいます。万が一に備えてのお金を準備をしたら、投資へのステップを勇気を持って踏み出してみてください。

 

ソーシャルレンディングなど高利回りの金融商品も魅力的

また、こうした証券会社で買い付けできる金融商品に加えて、ソーシャルレンディング(投資型クラウドファンディング)など、ミドルリスクミドルリターンの商品で運用を考えてみるのも良い選択肢だと思います。ソーシャルレンディングには、海外向けの投資で年利10%以上の利回りで運用できるファンドなども度々募集されています。ソーシャルレンディングについて気になる方は下記リンクの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。

 

▼参考

playbaseball.hatenablog.com

 

 

保険に入れば貯蓄と節税ができる

医療保険について

医療保険や生命保険も、自分や家族に万が一のことがあったときのことを考えると、有益な貯蓄手段です。また、生命保険料控除のシステムがあるので、確定申告をすることで所得税と住民税の控除が受けられます。病気や怪我で入院したり、仕事ができなくなった際には家計を助けてくれるものになります。注意しなければいけないのは、貯蓄型の医療保険は満期を迎えて積立額を受け取れる仕組みですので、急な現金の入り用には対応することができないという点です。したがって、ご自身の勤める会社の福利厚生制度などと照らし合わせた上で入るか入らないかを決めた方が良いでしょう。

 

また、「投資をして資産形成をする」という考え方に重きを置くと、貯蓄型の医療保険よりも掛け捨て型に加入した方がその分投資に使えるお金は大きくなります。保険に入る場合は、自分の今後の昇進と給与アップの見通しなどを踏まえて保険を選ぶようにしましょう。

 

老後の資金はどれぐらい必要?

総務省の家計調査報告によると、高齢無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の公的年金などの社会保障給付は、1カ月におよそ19万円です。同じく家計調査によると月々の支出はおよそ27万円であるため、不足分は月々8万円程度となります。年間で考えると、8万円×12カ月で96万円。老後期間が20年で1,920万円、25年で2,400万円となり、これに家のリフォームや自動車購入、医療など加えると老後資金は3,000万円程度が目安であるといえます。


ただし、この3,000万円という金額は60歳で定年を迎えることを想定した数字です。現在の定年は原則65歳であり、場合によってはさらに長く働くこともあります。定年が遅くなればそれだけ無職期間も短くなるため、必要な老後資金も少なくて済むことが考えられます。このように、老後資金は本人の定年前の給与額や貯金、定年の年齢、寿命などによって変わるため、3,000万円はあくまでも目安だといえます。

 

https://www.tr.mufg.jp/dekirukoto/commentary/05.html

総務省の調査を元に三菱UFJ投資信託銀行が出している見解によると、高齢無職世帯が受け取る年金などの給付金は1ヶ月で19万円。一方で平均の支出は27万円で、月平均約8万円、年間では96万円が不足する計算になるそうです。そして、生活を営むための余剰資金を込みで考えると、3000万円ほどの資産があるのが望ましいと考えられています。

 

勤労40年で3000万円を貯めるには?

勤労年数を40年ほどと考えると、3000万円を貯めるためには年間70万円、月々5万8000円ほどの貯金を新卒から続けなければいけない計算になり、大卒の手取りが20万円を切る労働環境が珍しい現代では、難しいと思われる方も多いと思います。そこで、1年目は10万円、そこから毎年5%ずつ貯金を増やしていくというシミュレーションをしてみると、40年間で1200万円ほどが貯まる計算になります。それでもまだ3000万円には及びません。

 

次に、3000万円を40年間で貯めるために資産運用も加えたシミュレーションをしてみます。貯蓄額自体は1年目10万円から毎年5%ずつ増やしていくという計算は変えず、そのお金を年利5%で運用できたと仮定すると、40年目には約2800万円貯まる計算になります。年利5%のパフォーマンスを安定して出すのは少々難しいと思いますが、夫婦2人で共働き、さらに退職金なども加味すると少しは現実的な数字になります。

 

老後の資産を計画通りに貯めるのはかなり大変ですが、年金や社会保障について不透明だという現実も加味すると、「自己防衛」のために見通しを立てて少しずつ投資を始めるのはもはや必須の時代だと言えるでしょう。

 

元本保証を謳った高利回りの投資詐欺に注意

一般に公開されていて証券会社などを経由して買い付けできる金融商品ではなく、金融庁のライセンスも持たない個人・業者による高配当を謳った金融商品の勧誘も巷には溢れていますが、99%は投資詐欺の類です。未公開株や社債、株式の仕手、FXや指数・商品先物のトレード、仮想通貨など、さまざまな名目で「月利10%の配当が出るし、元本保証の契約書を結ぶことも可能」等々の文言で持ちかけられる話には十分注意してください。

 

そもそも元本保証を謳って出資を募るのは出資法違反です。一見相手が信頼できそうな肩書きだったり、あるいは付き合いの長い人だと、信じ込んでしまってお金を渡してしまうようなケースも多いのですが、実際にはポンジスキーム式の運用になっていて、配当が出ているように見える投資詐欺のパターンも非常に多くあります。

 

 

 

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