YouTubeから低評価ボタンが消える?"dislike mobs"への対策

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YouTubeは、きちんと動画の内容を見ないうちに押される攻撃的な意図のある低評価に対策を講じようとしています。日本語で言うところのいわゆる「アンチ」の集団による特定のクリエイターや特定のゲームの動画に対する低評価は、動画やクリエイターの価値を下げてしまいます。こうした集団をYouTubeは"dislike mobs"と呼んでいるそうです(mobには集団、暴徒などの意味があります)。

 

PC向けゲームのプラットフォームであるSteamでも同様の問題が発生しており、特定のゲームやクリエイターに怒った集団が、一斉にその作品に低評価を投じる"review bombings"という行為が常態化しているのです。

 

YouTubeでは、低評価の多い作品は関連動画としてユーザーにオススメされにくくなるというアルゴリズムがはたらいているため、悪意のある低評価で実害を被っているクリエイターも少なくありません。YouTubeはこのdislike mobsに対抗するために、低評価ボタンの扱いに関して改善することを検討しています。現時点では、高評価と低評価の数をそもそも表示させないという機能がありますが、あまり使われていませんが、低評価が多くつきそうな動画の評価数を予め隠しておくというスタイルを用いているクリエイターも存在します。

 

検討されている選択肢は、評価を付けたときにより細かい理由を求めるというものです。低評価が付けられた場合には、何が気に入らなかったのかを視聴者に回答させることで、一瞬考える時間が生まれ、衝動的に低評価を付けるdislike mobsも面倒くさがって低評価を押さないようになるかもしれません。しかし、この機能を実装するのは複雑で、クリエイターが動画の管理画面で評価の理由を分析できるようにするためには技術的に要求されることが多くなってしまいます。

 

そして、極端な例として「低評価ボタンそのものを撤廃する」という案も浮上しています。しかし、全ての低評価がdislike mobsによるものではないことはYouTube側も理解しており、評価の扱い方にはまだ議論が必要だとしています。

 

Steamの場合は、ヒストグラムを用いることで、低評価が組織的に付けられている可能性について客観的に検証可能なシステムを導入しました。時間を経てレビューがどのように変化していったかを確認することができるというメリットもあり、消費者の行動にどのような変化がもたらされるのかが注目されています。

 

YouTubeの低評価ボタンの扱いについては、ユーザーからもさまざまな意見が寄せられており、「動画の25%未満しか視聴していないユーザーは評価できないようにするべき」というような案が上がっています。

 

ちなみに、YouTubeが2018年末に公開した「2018年の振り返る」という動画には252万件の高評価に対して1550万件の低評価が付けられていますが、これがdislike mobsによるものであるかどうかは定かではありません(笑)

www.youtube.com

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参考:Non Skippable Ads, new features in Studio Beta, and more! - YouTube