Facebookは、1月31日にイランの不法な活動を行う者によって作られた約800個のアカウントを凍結したことを発表しました。Facebookはイランの活動家が(身分を偽って)投稿を行なっているアカウントや交流を行なっているグループを特定し、インスタグラムでもそれらしき動きのあるアカウントを発見したとのことです。Facebookのサイバーセキュリティー担当者は、WhatsApp(アメリカで使われているLINEのようなメッセージアプリ)では同様の行為は確認できなかったと報告しています。
デジタル犯罪研究センターが停止されたアカウントの確認を行ったところ、停止されたアカウントではイスラエルとパレスチナの紛争など、議論の余地があるコンテンツに関して偏った思想を広めるような投稿が多く見受けられたとのことです。
こうしたアカウントの活動の影響を受けて、約200万個のアカウントは、とあるイランのページを閲覧し、1600のアカウントはグループに参加し、Instagramでは合計25万4千人のフォロワーを集めていました。また、少なくともFacebookとInstagramで3万ドル以上の広告費を使って広報活動を行なっていたこともわかり、広告費は米ドル、ポンド、ユーロ、カナダドルなど複数の通貨で決済されていました。
停止されたアカウントのうち約3割は5年以上活動を行なっており、イランの活動家組織は2010年ごろからインターネットを通じての政治活動を始めていた可能性も示唆されています。今回は、昨年行われた調査の情報から新たに得られた事実を元に活動家のアカウントが特定されたとのことです。
アメリカの選挙の際にもこうした活動を行なっているアカウントが存在することは確認されており、イランの他にもロシアやベネズエラなどの国でも過激なパフォーマンスを行う組織的なアカウントがあることが確認されています。
今回のアカウント凍結・削除は、あくまでも「フェイクアカウントを作っていた」という名目で実施されていますが、イスラエルとパレスチナの問題なども踏まえるとどうしてもFacebookそしてアメリカの政治的な判断が介入したのではないかという憶測が出てくるかもしれません。過激な投稿を野放しにするのは危険ですが、半ば検閲とも言えるやり方には異議を唱える人も少なくないでしょう。
参考:Removing Coordinated Inauthentic Behavior From Iran | Facebook Newsroom