昨年8月に、ビットコインが上昇に転じるためには「マイナーによるヘッジ外し」が必要だという内容の記事を更新しました。
マイナーによるヘッジショートとその意図などは上記記事でご確認ください。上記記事の内容を踏まえた上で、ビットコインの下落トレンドの終わりと、上昇トレンドへの転換は近いのでは無いかという推測についてこの記事を書きます。あくまでも私個人の推測の話ですので、内容は鵜呑みにしないようにしてください。
ハッシュレートの推移と相次ぐ撤退
上記の画像の通り、ビットコインのマイニングを行う全体のハッシュレートは、2018年に入ってからも右肩上がりになっていました。一方でビットコインの価格はと言えば、2017年末につけた1BTC=200万円超えの価格から、現在では40万円前後まで下落してしまっています。
2017年の後半から2018年にかけては国内外の多くの企業がマイニング事業に参戦し、日本でもGMO、 DMM、 SBIなど名だたる大企業がマイニングマシンの稼働や開発といったマイニング関連事業に参入しました。しかし、ビットコイン価格は昨年末の最高値から1/5程度まで下落してしまった状況では収益を伸ばすことが難しく、GMOは350億円にも上る特別損失を計上するにまで至りました。
7nmのチップを利用したマイニングマシンの開発も頓挫する形になってしまい、今後は収益構造を見直した上で、より安価な電力供給を受けられる体制を探りつつマイニングを行うとのこと。DMMも金沢に作ったマイニングファームがありましたが、マシンの売却などを行って撤退する方針を決めています。
さらに、世界最大手のマイナーBITMAIN社も大規模なリストラを計画しているなど、たった一年でマイニング事業とマイニングマシンは「金の成る木」から「不良債権」へと姿を変えてしまったのです。
ICOブームの終焉とイーサリアムの売り圧減
2018年は「仮想通貨バブルは崩壊した」とも形容できる下落相場となりましたが、一攫千金を夢見たICOブームの到来、そしてICOで調達された仮想通貨を運営の資金にするためのETH(イーサリアム)売却といった動きも目立ったように思います。イーサリアムは2018年初頭に15万円ほどの値段をつけたのをピークに、年末には1万円を切る価格にまで下落しました。現在は下落も少し落ち着き、1万6000円ほどの値段をつけています。
ICO=詐欺という認識が広まるほど、2018年は数多くのICOに関して問題が指摘されていましたが、新しいトークンが発行されるたびに売られて、含み損でもFIATに換える人が続出し、売りが売りを呼ぶ相場になりました。また、2017年末から始まったCME及びCBOEにおけるビットコイン先物取引に関しても、大口の売りが先行する要因になったように考えられます。
しかし、ここにきてイーサリアムの売り圧はかなり落ち着いたように見え、さらに先物取引のショートポジションも徐々に解消されていく動きが出てきています。こうした市場動向は、仮想通貨の価格が底打ちした可能性を示唆する材料という見方もできます。
マイナーのヘッジショート解消
これは確実なデータが無いため憶測に過ぎないのですが、ビットコインのマイナーがマイニングをしつつその損失を限定させるために取っていたと思われるヘッジショートのポジションも、そろそろ一巡しそうな雰囲気があります。前述のGMOやDMMによるマイニング事業からの撤退や、BITMAINによる大量のリストラなど、「マーケットが最も悪い状況で起こり得る材料」は出尽くしたように思えます。
そうなれば、「損失を減らすために空売りしていたビットコインのポジションがそろそろ決済される」という動きが出てきて然るべきであり、上述のイーサリアムレートのジワジワと回復している様子などを見る限りは少し期待感を持っても良さそうです。
いかんせん憶測に過ぎないところではありますが、PoWというシステムで支えられているビットコインの値動きを考える上で、やはりマイナーとその周辺の思惑というのは探っておく必要があると思います。