「東京五輪学生ボランティア応援団」の皮肉がキレキレで面白い

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上記のツイートで言及されている、東京オリンピックの学生ボランティア募集を皮肉った東京五輪学生ボランティア応援団のウェブサイトが結構面白いです。

 

いよいよ、2020年東京オリンピックパラリンピック大会(以下、東京五輪)まであと2年です!
私も、このやりがい先進国・日本で「美しい五輪」が実現することを大変心待ちにしています。

その東京五輪において、東京五輪組織委員会の皆さんは、私たち学生に、やりがい溢れるボランティアの機会を与えてくださろうとしています。
日本には昔から、「若いうちの苦労は買ってでもしろ」ということわざがありますが、この貴重な機会を、組織委の皆さんはなんと無料で提供してくださるのです!!

こんな機会、ほかにあるでしょうか?

 

東京五輪でのエピソードをESや面接に盛り込めば、パナソニックだろうが野村證券だろうがリクルートだろうが朝日新聞だろうが、内定間違いありません!

そのボランティアの募集が、いよいよ9月から開始されます!

 

ボランティアで得られるもの、それは、「やりがい」「感動」「絆」だと私は思います。
あくまでも私の考えに過ぎませんが、それらのボランティアの意義について、1つ1つ簡単に述べたいと思います。 

 

テレビで傍観しているだけでは、その感動の嵐に加わることはできませんが、ボランティアになれば、感動と一体化することができます。 

 

ボランティアでは、おおよそ1日8時間程度の奉仕が見込まれています。
東京の暑い夏、組織委が、打ち水やうちわの配布などいくら万全な対策をとってくださっても、8時間にわたって働くのは大変なこともあるかもしれませんが、「絆」さえあれば人間は、艱難辛苦にも耐えられるはずです。 

 

まぁオリンピックのボランティア募集要項の半ば強制的な表現や圧倒的無報酬での労働に頼ることについての苦言はたくさんありますし、ここからはリオデジャネイロオリンピックでのボランティアに関する報道を少しご紹介します。

 

2016年のブラジルリオデジャネイロで開催されたオリンピックでは、世界中から集まったボランティアに対して十分な食事の提供などもなかったという報道があります。

 

「観客をスタンドに案内したり、選手が競技場に向かう手助けをしたりなど、世界各地から集まった5万人以上の人々が無料でボランティア活動に従事しました。(中略)彼らは8時間、9時間働くように言われ、軽食だけが提供されました。」

 

▼参考
Rio 2016: Thousands of Olympic volunteers quit over 'long hours and lack of food' | The Independent

 

長時間の拘束の末に提供された軽食の質に不満を唱えるボランティア参加者が非常に多かったようです。これ以外の報道も見ると、ボランティアのシフト管理が杜撰で「残業」を余儀なくされたり、運営から十分に説明も受けないまま仕事に従事させられたりといった事例があったようです。

 

東京大会での運営がどのようなものになるのかはまだわかりませんが、無給で従事するボランティアスタッフが多いと、トラブルへの対応などの面で心配な面が生じますし、かと言ってしっかり準備をしようとすればするほど、事前研修のための拘束時間も長くなってしまいます。金銭的な報酬無しで従事してもらうボランティアに負担や責任を押し付けてしまう結果にならないかというのが、こうした大規模なボランティアの駆り出しに関しての懸念事項です。

 

オリンピックの運営に携わることができるというのは非常に魅力的にも思えますが、「ボランティア」の精神を盾に無給で労働者を拘束し、しかもそれに頼る前提での開催というのは、どこか違和感を覚えるところです。

 

オリンピックの会場建設のために建設会社が総動員されて、国も観光などに力を入れるものの、それが終わればGDPもマイナスを記録するという過去のオリンピック景気のその後に関する研究などもありますが、国の「労働力」という資本を無料で導入することは、単純に見ればあきらかに「損失」です。

 

観戦などのために訪れる訪日客がお金を落としていくという経済効果はもちろん期待できますが、それはボランティアが割りを食っているからこそ成り立つものとも言えます。戦後の東京オリンピックは復興と経済成長をアピールするシンボルともなって盛り上がった事実はありますが、21世紀のオリンピックがこのようにボランティアの動員を前提に成り立っていることの問題点はもっと指摘して議論していかなければなりません。

 

 

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