仮想通貨に詳しい方なら既にご存知かと思われるが、個人的にここ最近Zcashが非常に気になっている。先月末頃にはJPモルガンとの提携も発表されるなど、保有する上での好材料がいくつかある通貨だ。
Zcash(ZEC)とは
Zcashは2016年10月から運用されている仮想通貨で、Zero-knowledge Security Layer (ZSL)という秘匿性が高める技術を用いていることで当初から高い注目を受けてきた。ブロックチェーン上のトランザクションからは送受信のウォレットアドレスや取引量はわからない仕組みになっており、ビットコインなどと比べて大きな違いがある(トランザクションの承認はPoW=マイニングによる)。
Zcashの公式サイトでは、Zcashの特性をインターネットにおけるhttpとSSL化されたhttpsに例えて
If Bitcoin is like http for money, Zcash is https—a secure transport layer
と表現しており、つまりは安全性・情報の保護に重点を置いていることがアピールされている。
JPモルガンとの提携で将来性が注目され、価格が一挙3倍に
出所:POLONIEX.COM ZEC/BTC
上記チャートの画像を見ると、真ん中から少し左の辺りで価格が跳ね上がっている箇所があるが、この大きな変動を見せた5月22日は、ZcashとJPモルガンの提携が発表された日にあたる。価格はそれまでの1ZAC=0.05BTC付近から一時0.15BTC付近まで上がり、3倍ほどの値を付けた。その後価格は上下しているが、現時点で見ても、元の価格の2倍は割らないような値動きを見せている。
JPモルガンは、顧客の資産情報の保護にZcashの技術を取り入れたいと考え、今回の提携に至ったと言われている。同社は既にイーサリアム上にQuorumという企業による利用に特化したプラットフォームを立ち上げているのだが、今後はこのプラットフォームにZcashのプライバシー保護技術を取り入れていくという方針のようだ。Zcashの開発の母体となったZECCの代表Zooko Wilcox氏も、JPモルガンとの提携と今後の技術開発に意欲を見せている。
ビットコインのブロックチェーン技術は銀行などの機関が採用するのはセキュリティ上難しいと言われていたが、JPモルガンのような世界的な大手銀行がZcashに注目して提携まで至ったというのは、市場には大きな期待感をもたらし、各取引所でも上記のような価格の急騰が発生した(この価格上昇の要因はこれ以上でもこれ以下でもなく、Zcashそのものが価値あるものになったかと言えば、その点はNOと言えるだろう)。
「仮想通貨が世界の金融を変える」を合言葉のようにして、フィンテック界隈、仮想通貨界隈は大きな盛り上がりを見せているが、こうした大手の資本が入ったプログラムの動向は私自身注視しなければならないと考えており、今回Zcashを注目の通貨として取り上げた次第だ。
▼参考記事
・Grads of LifeVoice: Why We Must Recognize Alternative Pathways To Economic Prosperity
・Ethereum Enterprise Alliance Adds 86 New Members Including DTCC, State Street And Infosys