リップラー待望の「リップル基軸通貨論」とは?実現すればXRPは値上がりする?

仮想通貨リップル(Ripple、XRP)のファン、通称リップラーたちから、よく「リップル基軸の取引所ができてほしい」「リップルビットコインに変わって基軸通貨になる」という声が聞こえてきます。ここでは「リップル基軸」とはどういうことなのか、なぜリップラーはXRP基軸通貨になれば値段が上がると思っているのかなどについて書いていきます。

 

基軸通貨」とは

まず前提として、現在の仮想通貨マーケットは「ビットコイン(BTC)が基軸通貨である」と言って良い状況です。「ビットコイン基軸」とは、「アルトコインが売買される時にはビットコインとのペアで取引され、ほぼ全てのアルトコインビットコインを経由して取引される」という状況のことを指します。

 

イーサリアム(ETH)やリップルXRP)と言ったメジャーなアルトコインも、多くはビットコインを相手にETH/BTC、XRP/BTCという対BTCペアでの取引量(出来高)が多くなっています。

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こちらはETH/BTCのチャートですが、現在1ETHは0.042520BTCで取引されているということがわかります。イーサリアムに限らずほぼ全てのアルトコインは、ビットコインとの取引を通じて流動性が生まれている状況です。

 

現在の仮想通貨取引所におけるビットコインの立ち位置を踏まえると、「アルトコインを買うためにはまずビットコインを用意して、そこからアルトコインを購入しなければいけない」ということが言えます。大手の取引所も多くはイーサリアムを基準にした取引板のサービスを用意していますが、やはりビットコイン建の板に比べると取引量が少ないです。

 

 

 

リップル基軸」とは

リップラーが渇望する「リップル基軸」とは「ETH/XRP、DASH/XRP、BCH/XRP」といったように、リップルから直接アルトコインの取引ができるという状況のことを言い、実は既にリップル基軸通貨として取引板が用意されているDCEXという取引所があり、他にはインドで最近開設された取引所でもリップル基軸通貨として採用されているようです。

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CDEX取引所では1BTC=16250XRP、1LTC=90XRPというように、リップルをベースにビットコインやその他のアルトコインが取引されています。ここまでの説明は特段難しい内容は含まないと思いますが、では一体、このDCEXが採用しているような「リップル基軸」が多くの取引所でのスタンダードになると、リップルはどうなることが期待されているのでしょうか?

 

アルトコインを買うためにリップルを買うという需要の底上げ

前述の通り、現在は「アルトコインを買うためにビットコインを買う」という形でビットコインには一定数の需要があります。例えばビットフライヤーには「アルトコイン販売所」というものが用意されており、イーサリアムモナコイン、リスクといったアルトコインを日本円で買うことができるのですが、これは基本的に他の取引所*1におけるETH/BTC、MONA/BTC、LSK/BTCという対ビットコインのレートを参照し、そのレートにビットコインのBTC/JPYの取引価格を乗じて計算されています。

 

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こちらは先ほども挙げたETH/BTCのチャートで、このチャートから現在イーサリアムは0.045250BTCで取引されていることがわかります。そこにビットコインの価格をここでは仮に75万円として計算してみると、

750,000×0.0425=31,875円

イーサリアムの値段は1ETHあたり約31,875円という計算ができます。ビットフライヤーなどのアルトコイン販売所では、そこに販売手数料が上乗せされた価格でアルトコインを購入することが可能です*2

 

これを踏まえてアルトコインを買うときのお金の流れを追ってみると、

日本円→ビットコインアルトコイン

というようになっているのが改めてよくわかるかと思います。

 

もしXRPを基準にアルトコインがトレードされ、「リップル基軸」が世界の仮想通貨市場においてスタンダードなものになれば、「アルトコインを買うためにまずリップルを買わなきゃいけない」という需要が、今のビットコインと同じように生まれることになります。もしそうなれば今までとは比較にならないぐらい多くのXRPが取引されることになりますので、その結果必然的に需要が高まり、XRPの値段も上昇するだろうという期待から「リップル基軸」の実現・一般化を求めるリップラーは多いのです。

 

 

 

リップル基軸は実現するのか

では次に、上に挙げたような「リップル基軸」が一般的になるかという部分を考えてみましょう。リップラーの誰もが挙げるXRPの強みは、その「送金の早さ」です。ビットコインブロックチェーンでのブロック生成に少なくとも10分かかり、取引が承認されるのには少なくとも30分程度かかるケースが多い印象です。さらに過去には、ブロックチェーン上のBTC取引ボリュームが急激に増えたため未承認の取引がどんどん溜まっていき、1日経っても取引が承認されないといった非常に不便な事態が引き起こされてしまったこともあります。

 

一方リップルは、取引が申請され=トランザクションが出力されてから完了するまでのスピードは5秒ほどであることが知られています。「取引所やウォレットに送った送金がなかなか反映されない」というのがストレスになったことがある人はたくさんいると思いますが、リップルであれば取引は瞬時に完了し、さらにその送金にかかるコストもビットコインに比べれば安いため、ストレスフリーで送金コストも抑えることができるというのは、基軸として採用される理由になりうるとは思います。

 

しかしその一方で、XRPトランザクション量が爆発的に増えればネットワークに負荷がかかって障害が発生してしまうのではないかという「スケーラビリティ」に関してや、顧客が預け入れる大量のXRPを安全に保管するためのXRPのコールドウォレット管理システムの導入は、BTCのそれに比べて技術者に要するスキルを含めたコスト面で実現・維持可能であるかといったことについては、リップラーの間で十分議論されていないように思えてしまいます。ただしこれについては私も不勉強であることは自覚していますので、今後XRPに関しての見識を深めて追記をしようと思います。

 

ビットコインが値下がりするからリップルも上がらない?

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XRP/BTC週足

ここ最近の相場では「ビットコインが下落相場だからつられてしまってリップルも上がらない」と嘆くリップラーの声が非常に多くありました。これについては、「ビットコインが対FIAT(日本円・ドル)で徐々に価値を落としているのは事実だが、ビットコイン以上にリップルは売られている」という事実がありますので、全くもって的外れです。その点はXRP/BTCとBTC/JPY(USD)のチャートを照らし合わせてよく考えてみましょう。これはリップルだけではなく他のアルトコインについても言えることです。

*1:bitFlyer LightningにはETH/BTCの取引板があるが、便宜上「他の取引所」と表記。

*2:一連の説明で挙げた計算方法はあくまでもイメージ上のもので、イーサリアムに関しては対USDTの取引も盛んであり、一概にこの通りの計算で販売所のレートが提供されているとは限らない。