中国の景気対策政策と今後の人民元為替レートの展望

中国、景気優先にかじ=対米摩擦受け財政出動(時事通信) - Yahoo!ニュース

【北京時事】中国共産党習近平総書記(国家主席)は31日、党政治局会議を開き、米国との貿易摩擦激化に伴い、景気優先の経済政策にかじを切る方針を決めた。

 政府の決定を党指導部が追認した。対米輸出の低迷で景気が冷え込む恐れがあり、インフラ整備向け投資を増やすなどする。

 会議では「現在の経済情勢は安定の中に変化が見られ、新たな問題に直面している」との認識で一致。「外部環境が明らかに変化している」とし、トランプ米政権による対中貿易制裁を受け、国内経済が脅かされつつあることを認めた。財政出動を中心に景気対策を急ぐ。

 習指導部は債務抑制などの経済構造改革を重要課題に掲げている。その影響で、中国経済を支えてきたインフラ投資は急速に勢いを失ったが、改革優先のため容認の構えだった。景気優先を鮮明にしたことで、改革が後回しになる恐れもある。 

まずはこのニュース記事のご紹介から。習近平国家主席アメリカとの貿易摩擦の激化を理由に、経済政策を景気対策中心に切り替えると発表したことに関する記事です。

中国のPMIはこの1年ほど大きな変化はありませんが、輸出入の数値については貿易摩擦の影響は最近顕著になってきた印象は否めません。

参考:中国景況感、6月は小幅低下 輸出入の指数が悪化: 日本経済新聞

中国は元々ドルを中心とした外貨の流入を成長戦略の柱にしてきましたが、ここ最近のドル高、人民元安というトレンドと上海株価指数の回復が思わしく無いという逆行現象も発生する中で、量的拡大に頼った金融政策の路線にはやはり限界を感じていると思われます。

内需の成長も頭打ちになることが予測される現状、インフラ整備の公共事業を景気対策の新たな柱とする戦略ということで、加速していたドル高元安のトレンドは今後反転する可能性は高いと見て良いのでは無いでしょうか。

チャート的には一度ダブルトップの天井をつけた6.73付近がちょうど日足の一目均衡表の雲が分厚くなるところの上限付近にもなり、そこを割り込むようであれば6.6を割り込むようなトレンドが形成される可能性も高いため、そうなってくれば目下中国の短期的な財政出動による景気対策、もとい為替レートのコントロールも効果が見えてくるような展開になるのではないでしょうか。

中長期的にはドル高のトレンドはまだまだ続くようにも思えますが、一旦は人民元主導でドル高に大きめの調整が入る可能性は低くないかなと見ています。