SEC(米国証券取引委員会)がThe DAOトークンを「有価証券」だと認定

翻訳記事です。
元記事:https://www.sec.gov/news/press-release/2017-131

 

前提知識①:DAOについて

 DAOとは?

DAOとは(Decentralized Autonomous Organization)の略語です。非中央集権で自律型の組織という意味をもつ造語です。人間の経営者や、管理者、ルールがなくても人間を動かすための仕組みにより事業の自律化ができ、非集権化の枠ぐみが出来上がることをDAOといいます。

 

すごいざっくりといいますと、ネットの力で何もせずにその会社や組織を動かすようなまさに夢のようなことです。

 

DAOの特徴

・分散型自動組織

コンピューターの中にできている代表者や責任者がいないボランティア組織です。代表者や責任者を逮捕したり、組織を解散することはできません。

 

・地球上にコンピューターがある限り、永久に生き残ります

どこのコンピューターにデータがあるかわからず、1つ1つデータを壊してもまた新しく増えていきます。言い方は悪いかもしれませんが、DAOは寄生虫のようなものです。コンピューターがある限りは決して壊すことはできません。

 

・ブロックチェーンを使用する

暗号通貨のブロックチェーンの仕組みを採用しています。ビットコイン等でもこのブロックチェーンのお陰で非中央政権でも成立しています。

 

出所:お金で悩みたくないのでゼロから学ぶブログ

 

前提知識② :"The DAO"について

The DAOとは

 

まずThe DAOとは何なのか。The DAOとは「プロジェクト」です。このプロジェクトの参加等の為に利用される「DAO」は仮想通貨(トークン)です。「The DAO」というプロジェクト、「DAO」という仮想通貨(トークン)、というような使い分けがなされます。

 

プロジェクトと独自の仮想通貨が分けられているのはよくある事で、ビットコインではありませんがイーサリアムも分けられており「イーサリアム」=プロジェクト、「イーサ(ETH)」=仮想通貨というような感じです。

 

The DAOの名前の由来は「decentralized autonomous organization」の頭文字から来ています。

「分権的で(dicentralized)自主的な(autonomous)組織(organization)」という意味です。分権的というのはビットコインのように「非中央集権的」と言い換えられます。つまり、The DAOは非中央集権的で自主的な組織を目指したプロジェクトだと言えるでしょう。

 

The DAOの仕組み

 

続いてThe DAOの仕組みについてです。あまり技術的な事を書いても初心者の方にとっては混乱してしまう原因の一つになりかねないのでここでは大枠の仕組みをご説明させていただきます。

 

まず、The DAOのプロジェクトは「非中央集権で自主的な組織」を目指しているという事は先ほどご説明させていただきました。どのような形でそれを目指しているか、です。

 

The DAOは簡単に言うと「投資ファンドを非中央集権で行う」プロジェクトです。普通投資ファンドと言えば運営が広く投資家から資金を集めて、運営が投資先を決め利益が出た場合その配当を投資家に配分するというもの。

 

しかしThe DAOはその資金集めをする運営、投資先を決定する運営がいません。それらはスマートコントラクトという技術やブロックチェーンという技術により広くから資金を集め、DAOという独自トークンを保有するその投資家たちによる賛成を得る事で投資先を決定していきます。

 

出所:とってもやさしいビットコイン

The DAOのその後 

 

SEC(米国証券取引委員会)は、7月25日、市場取引参加者に「バーチャル組織によるデジタル資産の販売・オファーは連邦証券法の対象である」という調査結果を発表し、警告を行った。分散型台帳、ブロックチェーンなどの技術を利用して行われるこれらのセールス・オファーは、ICOあるいはトークンセールスと呼ばれている。表現の際の専門用語や技術に関わらず、金融商品のオファーまたは売却が含まれるかどうかは、取引の経済的実態を含む状況・事実に依存するとのことだ。

 

SECによる調査報告書によると、"The DAO"として知られるバーチャル組織によって提供・販売されるトークンは有価証券であり、連邦証券法の対象になっている。この報告書は、分散型台帳またはブロックチェーン技術に基づく証券(トークン)の発行者は、免除に該当する項目がない限り、証券のオファーと売却に際して登録を要することを確認している。

 

未登録のオファーに参加している者も、証券法違反の責任を負う場合がある。さらに、これらの証券取引を提供する取引所も、免除に該当する要素が無い場合は登録が必要になる。連邦証券法の登録規約の目的は、投資家が情報が適切に開示された投資商品を扱い、投資家保護のためのSECによる監督を受けられるようにするためである。

 

SECのジェイ・クレイトン会長は、「SECは分散型台帳やその他の革新的技術の影響を研究しており、市場参加者がそれらを扱うことを奨励している」と述べ、「我々は投資家と市場が保護されることを確実にし、革新的で有益な資金調達の手段を支援する」と続けた。

 

企業金融部門のウィリアム・ヒンマン氏は、「投資家は投資機会のバックにある本質的な事実を知る必要があるため、開示された情報に基いて意思決定ができるようにする必要があり、今日の報告書は分散型台帳・ブロックチェーン両技術に基づく金融商品の提供者は証券法を遵守しなければならないことを確認している」と述べた。

 

SECの報告書は、当局の執行部が、The DAOと関連団体および個人が、仮想通貨である「イーサ(イーサリアム)」と引き換えに未登録のThe DAOトークンのオファーおよび売却を含む連邦証券法違反を起こしたかどうかの調査から興った。The  DAOは「クラウドファンディング契約」として記述されているが、証券取引所や証券業界に登録されているブローカーディーラーや資金調達ポータルではなかったため、クラウドファンディングの規制免除の要件を満たしていなかった。

 

 SEC執行部の共同ディレクター、ステファニー・アバキアン氏によると「これらの仮想取引の背後にある革新的な技術は、投資家と市場の完全性を守るために設計された規制の枠組みから証券取引や取引プラットフォームを免除するものではない」とのこと。

 

執行部のスティーブン・ピキン氏は、「技術の進化が企業の運営方法や資本調達に影響を与え続けているため、市場参加者は連邦証券法の適用を認識し続けなければならない」と述べる。

 

事実や状況と照らし合わせて、当局はこの場合に料金を請求しないこと、または報告書の違反の発見をすることを決定したのではなく、業界および市場参加者に注意を喚起することを決定した。連邦証券法は、発行会社が既存の会社であるか地方自治体であるか(あるいはバーチャル組織であるか)にかかわらず、これらの有価証券が米ドルまたは仮想通貨を使用して購入されたものであるかどうかに関係なく適用される。

 

SECの投資家教育啓発局は、投資家にICOに関する情報を提供する投資家向けの報道を本日発表した。本報告書で論じられているように、仮想通貨またはトークンは有価証券であり、連邦証券法の対象となることがある。連邦証券法は、投資家が認識すべき開示要件およびその他の重要な保護を記している。さらに同報告書は、投資詐欺の概要・兆候を投資家に喚起し、新技術を使用(悪用)した連邦証券法に準拠していない投資スキームが実行される可能性もあることを銘記している。

 

以上。